メンバーの記事
RITE の記事は「問い」から生まれます。問いは、問う人 ─ Questioner ─ が発する日々の感性。ここには、多くの人の感性が集まっています。
- No.02482026年9月4日
異なる「現実」を生きる人々は、どう共存できるのか
誰かの投稿を見て、静かに画面をスクロールしたことはないでしょうか。反論したいわけでも、賛同したいわけでもない。ただ、何かを言えば面倒なことになる、という予感だけがある。日本では、職場でも家族の食卓でも、政治や社会について語ることは長らく「空…
八木橋パチ日本アイ・ビー・エム株式会社2 reads - No.02492026年9月1日
人間は、語れる以上のことを知っている
採用面接の場で、候補者が流暢に「私の強みはAIを活用した業務効率化です」と答えるとき、面接官はどこか釈然としない感覚を覚えることがある。言葉は整っている。論理も通っている。それでも何かが足りない。その「何か」を言語化しようとすると、今度は面…
内山道公1 reads - No.02502026年9月1日
証言が消えた後も、平和教育は生き続けられる
七月の終わり、教室に折り紙の音が満ちる。子どもたちの指は迷わない——鶴の折り方は体に入っている。しかし「なぜ折るの?」と問われた担任教員が、しばらく黙った。被爆者の話を直接聞いたことがある教員は、2020年代の学校現場ではすでに少数派だ。証…
庄子貴喜5 reads - No.02512026年9月1日
便利さは、文化の記憶を静かに消していく
古着屋の暖簾をくぐると、店主が無言で反物を広げ、傷の位置を指でなぞりながら「ここを折り返せばまだ使える」と言った。値段の交渉より先に、物の来歴が語られる時間があった。その場で子どもは、物には物語があること、傷は終わりではないことを、言葉では…
Akiko Iwamura4 reads - No.02522026年8月23日
集合的イノベーションは、媒介によって召喚される
「気づいたら政策になっていた」——ある地域の食料支援に携わっていた担当者は、数年後に自分たちの試みが国の制度へ組み込まれていたことを、そう振り返った。意図して広げようとしたわけではない。ただ記録し、語り、隣の現場の人と話し続けた。その積み重…
西村仁志環境共育事務所カラーズ3 reads - No.02532026年8月22日
「人間にしかできないこと」を問い続けるほど、人間は貧しくなる
会議室で、AIが作成した提案書を前に、誰も言葉を発しなくなる。 「これ、私たちが作るより良くないか」 そんな空気が漂い、誰かが「それでも、人間にしかできないことがあるはずだ」と口にする。しかし、その言葉で議論が前へ進むとは限りません。む…
菊地大翼6 reads - No.02542026年8月21日
遺物の値段は、ストーリーが決めていた
「先生がびびってはった」という小学2年生の報告は、価値論の核心を突いていた。「我が家の宝物」を紹介する授業で桐箱に収まった江戸末期の西陣織の袱紗と表具店の蔵から出てきた信長の手紙が教室に持ち込まれたときのことである。素材の精緻さでも保存状態…
田畑 真理国立大学法人京都大学3 reads - No.02552026年8月20日
「正しい言い方」を学ぶほど、人は黙っていく
企業の社員食堂に、白くて丸い家族型ロボット「LOVOT」が置かれた日のことを想像してほしい。外部スタッフが抱いていたそのロボットは、隣の人のくしゃみに反応して、まるで幼い子どものように身をすくめ、驚いた表情を見せた。それを目にした二人が思わ…
Akiko Iwamura7 reads - No.02562026年8月15日
役割は外殻を変えるが、背中は内核を映す
合氣道の稽古中、友人で同い年だけども稽古では先輩である稽古仲間が、道場で指導しながら稽古していた。こちらは見ていない。見ているのは私の方だけだ。柔軟運動をしながら、いつの間にか十分以上その背中を見ていた。私が直接何かを教わったわけではない。…
三原重央4 reads - No.02572026年8月15日
自由だけでは自由を守れない - 人権という、人類のもっとも現実的な知恵
理由を告げられないまま部屋に閉じ込められた経験がある人は、おそらく多くない。 しかし、会議の場で発言を遮られた瞬間、あるいは自分の判断を誰かに無効化された瞬間、あの感覚の片鱗を多くの人が知っている。胸の中心が硬く縮む感じ、言葉が喉の手前で止…
八木橋パチ日本アイ・ビー・エム株式会社18 reads - No.02582026年8月13日
戦い続けるうちに、人はホームベースを失う
夜、仕事のメールを閉じた後も、頭の中で誰かと交渉し続けている自分に気づいたことはないでしょうか。電車の中でも、食卓でも、布団の中でも、どこかで「評価される自分」を演じ続けている。その感覚は、単なる疲労ではありません。哲学者シモーヌ・ヴェイユ…
勝 眞一郎バローレ総合研究所34 reads - No.02592026年8月8日
心理的安全性は、自分の内側から生まれる
会議室で手を挙げかけて、止めたことがある。言葉は喉元まで来ていた。それを押し戻したのは、「この場で言っても大丈夫なのか」という問いだった。組織が「ここは安全な場所だ」と宣言すれば、その問いは消えるのだろうか。 ハーバード・ビジネス・スクール…
八木橋パチ日本アイ・ビー・エム株式会社88 reads - No.02602026年8月8日
英雄は、後世が必要としたかたちに変えられていく
関羽の廟に手を合わせる人々がいる。武将として戦場に散ったその人物は、今や商売繁盛を祈る商業神として東アジア各地に祀られている。義経は奥州で滅んだはずなのに、民衆の間ではモンゴルへ渡ってチンギス・ハンになったという伝説が生き続けた。菅原道真は…
藤澤 稔17 reads - No.02612026年8月5日
MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)は、読む者が書き換える経典である
新しいメンバーとして組織に入ったとき、最初に手渡されるのはたいてい一枚の紙か、スライドの画面だ。ミッション、ビジョン、バリュー。短い言葉が並んでいる。読んだ瞬間、「なるほど」と思う。だが数ヶ月後、日常業務の中でその言葉を思い出すとき、最初に…
Yusuke Matsuyama6 reads - No.02622026年8月5日
余白は、余りから生まれない
手帳を開くたびに、空白の日を探してしまう。もしこの予定が終われば、もし来月になれば、もし少し早起きすれば——そうすれば、どこかに「余り」が出てくるはずだと。けれど不思議なことに、空白を見つけるたびに何かが滑り込んでくる。やりたいことが、やら…
Yusuke Matsuyama6 reads - No.02632026年8月4日
習慣は、見えない布で身体を巻き続ける
母が打撲から回復した後も、廊下の端で立ち尽くしていた。臀部の打撲自体はもう治っている。医師もそう言った。それでも彼女は一歩を踏み出せなかった。「痛くなりそうで怖い」——その言葉は、傷ではなく予測から来ていた。布はとっくに外れているのに、足は…
三原重央2 reads - No.02642026年8月4日
育てようとしない背中が、最も深く育てる
子どものころ、父が机に向かって設計図を引いている後ろ姿を、廊下からそっと見ていた記憶がある。何を教わったわけでもない。声をかけられたわけでもない。ただ、鉛筆が紙を滑る音と、肩甲骨のあたりに漂う集中の気配だけが、身体のどこかに染みこんだ。言葉…
三原重央9 reads - No.02652026年8月3日
受け取ることは、すでに技法である
合氣道の受け身を初めて習った日、師範は「投げられる前に、もう受け身は始まっている」と言った。倒れてから対応するのではなく、相手の力が伝わってくる瞬間に全身を開いておく——その準備状態こそが受け身の本質だと。人生においても同じ問いが立ち上がる…
三原重央13 reads - No.02662026年8月2日
飽きは、脳が正しく機能している証拠だった
RITEが立ち上がったあの日、画面の前で手が止まった。自分の問いが学術知と接続される瞬間、知らない場所へ連れて行かれる感覚があった。胸の奥が震えた、と言っていい。それから数ヶ月が経ち、今月もエッセイが書ける、と気づいたとき、手は以前より軽く…
藤澤 稔5 reads - No.02672026年8月2日
思想を変えても人は変わらない——改身が改心に先行する理由
ある朝、何年も繰り返してきた動作が、ふいに違う感触を持った。稽古でも、仕事でも、あるいは誰かの言葉を聞いたときでも——頭はまだ「なぜ」を問うているのに、身体だけが先に応えてしまっていた。その瞬間、理解と変容の順序が逆転していることに気づく。…
三原重央10 reads - No.02682026年8月2日
グローバル化は、意味を採掘している
アメリカの脚本家たちが炎天下のピケラインに立った2023年の夏、同じ頃、南米アタカマ高地のリチウム鉱山では粉塵の中で採掘が続き、かつて炭鉱だった米国アパラチアの谷間にはデータセンターの冷却塔が白い煙を吐いていた。これらの光景を「遠い話」とし…
松村岳史UNITED3 reads - No.02692026年8月1日
地平が融合するとき、感想は問いに変わる
異業種の集まりで、自分の仕事を三十秒で説明しなければならなくなった瞬間を覚えているだろうか。業界用語が通じない。略称も文脈も共有されていない。それでも相手は真剣に聞いている。その緊張の中で、ふだん「わかっているつもり」だった言葉が、突然輪郭…
Akiko Iwamura40 reads - No.02702026年7月30日
嘘つきトップは、真実を殺すのではなく真実への関心を殺す
選挙の翌朝、テレビをつけると当選した指導者が昨日と正反対のことを平然と語っていた。矛盾を指摘する記者に対し、彼(女)は笑みを浮かべたまま話題を変えた。視聴者の多くは怒るでもなく、ため息をついてチャンネルを替えた。 そのため息の中に、この記事…
八木橋パチ日本アイ・ビー・エム株式会社68 reads - No.02712026年7月30日
AIは、思考の『型』を静かに均す
「どちらとも言えない、というのが正直なところです」と打ち込んだとき、AIは三秒も経たずに「では、AとBの主な違いを整理しましょう」と返してきた。その瞬間、胸のどこかがわずかに萎んだ。私が手放したくなかったのは、まさにその「どちらとも言えない…
傘さすお10 reads - No.02722026年7月30日
失敗だけが、知識を骨にする
火加減を誤って鍋を焦がした朝のことを、あなたはまだ覚えているだろうか。焦げた匂い、慌てて窓を開けた手の感触、その日の沈黙。不思議なことに、うまくいった日の手順はほとんど思い出せないのに、しくじった朝の感覚だけが身体のどこかに貼りついている。…
Akiko Iwamura14 reads - No.02732026年7月26日
触れることは、文化が決めていた
誰かの手のひらが背中にそっと触れた瞬間、言葉より先に何かが伝わった経験はないでしょうか。その感覚は生物学的な事実であると同時に、文化が長い時間をかけて書き込んだ意味の束でもあります。私たちが「性的な接触」と呼ぶものの輪郭も、身体の仕組みが決…
はるうらら16 reads / 1 訪問 - No.02742026年7月25日
国民を守らない(かもしれない)象徴を守る国民――皇室制度と民主主義をめぐる考察
2019年5月1日、令和への改元を告げるカウントダウンが各地で行われた夜、渋谷のスクランブル交差点には自然発生的な人波が生まれた。スマートフォンのカメラが一斉に空へ向けられ、見知らぬ人同士が「おめでとう」と声を掛け合う。その光景を眺めながら…
八木橋パチ日本アイ・ビー・エム株式会社142 reads - No.02752026年7月25日
保育士の「技術なき労働」という誤認が少子化を加速させる
子どもが泣き止まない。抱き方を変え、声のトーンを落とし、視線を合わせ、呼吸を合わせる。その一連の動作に「技術」という言葉を当てる人は、日本社会にどれほどいるでしょうか。保育士の仕事を「誰でもできる」「母性の延長」と見なす認識は、賃金水準に直…
井上孝之jane's consulting / 岩手県立大学33 reads - No.02762026年7月25日
学びは、感想で終わらせるために存在しない
地域の勉強会が終わり、帰路の電車に揺られながら、あの場で感じた確かな手触りが静かに萎んでいく経験を、多くの人が知っている。ファシリテーターの問いに胸が震え、隣に座った見知らぬ人の言葉に自分の輪郭が変わる気がした。それなのに、改札を出た瞬間か…
西村仁志環境共育事務所カラーズ24 reads - No.02772026年7月23日
与えられていることに気づいた瞬間、世界は贈り物に変わる
朝、目が覚める。肺が勝手に動いて空気を取り込み、心臓が一度も頼んでいないのに脈を打ち続けている。窓から差し込む光も、昨夜誰かが作った食事も、自分が「受け取ろう」と決める前にすでにそこにある。ところが私たちはたいてい、その事実に気づかないまま…
菊地 久美5 reads