メンバーの記事
RITE の記事は「問い」から生まれます。問いは、問う人 ─ Questioner ─ が発する日々の感性。ここには、多くの人の感性が集まっています。
- No.02482026年7月18日
昔話の主人公が広告に召喚される日、子どもは何を失うか
桃太郎は桃から生まれた。そのことを、いまの小学生はどこで知るのでしょうか。テレビをつければ、桃太郎は松田翔太が演じる若者であり、浦島太郎・金太郎とつるんでスマートフォンの料金プランを語ります。auの「三太郎」シリーズは2015年の放映開始以…
井上孝之jane's consulting - No.02492026年7月18日
コモンズは、支配されない自由を制度に変える
「人新世の資本論ーコモンズと新しい豊かさ」のパネルを終えた夜、頭に残ったのは一つの問いだった。私有でも国有でもない第三の道を語るとき、私たちは何を守ろうとしているのか。土地、データ、知識、文化――それらを「みんなのもの」と呼ぶのは易しい。し…
澤谷由里子NUCB Business School2 reads - No.02502026年7月18日
「またいつか、準備ができた頃に来る」──あの2分が終わっていない理由
深夜、何かの気配で目が覚めた。部屋の空気が変わっていた。銀白色の、私よりふた回りほど小さなヒトが、そこにいた。言葉は聞こえなかったが、問いは届いた——「2分で決めろ。今から一緒に行くか」。2分は、長すぎるほど短かった。あるいは短すぎるほど長…
八木橋パチ日本アイ・ビー・エム株式会社18 reads - No.02512026年7月18日
スマホは、遊びの「中間領域」を埋めてしまう
2歳ぐらいの子どもが親のスマートフォンを手に取り、画面を指でなぞる。絵が動き、音が鳴り、また指を動かす。その集中した顔は、積み木を積むときとも、砂をつかむときとも、どこか違う。微笑ましさとともに、何かが引っかかる。その「引っかかり」は、単な…
西森寛希望結社ツクラム/教育テック大学院大学7 reads - No.02522026年7月17日
隙は、人を招く構えである
カミーノ・デ・サンティアゴの石畳の上で、私は計画を全部失った。地図も、天候も、歩く行程も、どれも予定通りにはならなかった。そのとき口から出たのは「受けたもう〜!」という声だった。語源を調べて出た言葉ではない。身体から溢れた音だった。合氣道の…
三原重央3 reads - No.02532026年7月16日
与えるとき、人は自分を発見する
濱口竜介監督の映画の中に、ユマニチュードという認知症ケアの場面があった。「見る・話す・触れる・立つ」という四つの動作で構成されるそのケアは、フランスで1970年代に生まれた哲学的実践だ。映画を見ながら気づいたのは、「誰かのため」という善意が…
あゆ - No.02542026年7月16日
縮退を設計しない国で、誰が引き際を決めるのか
案内スタッフが苦笑いしながら言った。「駐車台数が、本日の出勤者数です」。ガラスのドームでつながった建物群は陽光を受けてまだ美しく、しかし構内のゴミ箱はサルに荒らされた痕跡を残していた。中央省庁出身の首長が大型予算を引っ張り、補助金が切れると…
田畑 真理国立大学法人京都大学33 reads - No.02552026年7月16日
衝突する「持続」が、むしろ世界を支えている
数ヶ月ぶりに神様と生き物と島民がくらす離島の小さな浜に戻った時に目に入ったのは、異国の音楽と煌びやかなライトをまとった新しい店だった。胸の奥に湧いたのは環境問題への義憤ではなかった。「ここが消えてほしくない」という、もっと身体的な、ほとんど…
AKIKO HORII - No.02562026年7月15日
複数の世界を生きる者だけが、複雑な場を動かせる
会議室で、誰かの発言が宙に浮いたまま着地しない瞬間を経験したことがあるはずです。論理的には正しい。データもある。それでも場が動かない。その沈黙の中で、私たちは何かを感じ取っています——言語化できないまま、次の言葉を選んでいる。その「感じ取る…
そんじんScrum Inc. Japan3 reads - No.02572026年7月14日
党議拘束という政治的行為の死へのレジスタンス
投票所の帰り道、ふと立ち止まったことがあります。候補者の名前を書きながら、自分が選んだのは「その人」なのか、それとも「その党」なのか、区別がつかなくなっていた。議会で採決が行われるとき、議員たちは一列に並び、党の指示通りに手を挙げる。個人の…
八木橋パチ日本アイ・ビー・エム株式会社8 reads - No.02582026年7月14日
バトンを渡した手は、まだ走り続けられる
会議室の空気が変わる瞬間がある。60代のベテランが「俺たちの時代はこうだった」と語り始めた瞬間、若手の目が一斉に伏せられる。その沈黙は反論でも退屈でもなく、もっと深いところにある諦めの気配だ。リレーで喩えるなら、バトンゾーンをとっくに過ぎて…
松本由紀株式会社島津製作所23 reads - No.02592026年7月13日
子どもの夢は大人の経済に食い尽くされる
3歳の子どもが誕生会で「大きくなったらかわいい犬になります」と宣言したとき、その場にいた大人たちは微笑ましく感じた。しかし微笑みの後に残るのは、一つの問いです。その子はみんなに愛されるから犬になりたかったのだが、もしかしたらSNSで流れてく…
井上孝之jane's consulting96 reads - No.02602026年7月12日
学校が灯を消す日、集落は静かに畳まれる
春の終わりに体育館の床を磨く子どもがいなくなる。そういう日が、日本のどこかの山あいで毎年繰り返されています。文部科学省の統計によれば、2002年から2022年の20年間に全国で約9,000校の公立小中学校が廃校となりました。廃校は単なる施設…
井上孝之jane's consulting11 reads - No.02612026年7月12日
問いは、答えを得た瞬間に死ぬ
電車の中で知らない言葉に出会う。一瞬、頭の中に小さな霧が立ちこめる。だがその霧が晴れるより早く、指はもうスマートフォンの画面を叩いている。検索結果が返ってくるまで0.5秒もかからない。霧は消え、言葉は定義に変わり、問いは閉じられる。そのとき…
大嶋友秀株式会社スピーキングエッセイ4 reads - No.02622026年7月11日
物は、物語を纏ったとき宝物になる
引き出しの奥に、誰が見ても「ただの石」がある。丸くもなく、光りもしない、灰色の小石。でも手に取った瞬間、指の腹がその重さを覚えていて、言葉より先に何かが戻ってくる。あの夏の午後、誰かと歩いた川原。水の音。その人の声。石の物理的な性質は何も変…
出口賢一 - No.02632026年7月11日
億劫さは、祝いの失敗を知っている身体が発する警報だった
誕生日が近づく。贈り物を選ぼうとして、スマートフォンのショッピングアプリを開いたまま閉じる。メッセージを書こうとして、書きかけの文字を消す。祝いたい気持ちは確かにある。なのに手が止まる。この感覚を「面倒くさがり」と片付けてきたが、それは正確…
出口賢一 - No.02642026年7月11日
芸術は何を模倣するのか――外見の再現から生成の原理へ
美術館の展示室で、ある絵の前に立ち止まったことがある。描かれているのは川辺の光景だった。しかし目を引いたのは、川そのものではなく、水面に差し込む光が一瞬ごとに変容するその「動き」だった。画家はそこに何を見ていたのか。川の形を正確に写したので…
澤谷由里子NUCB Business School3 reads - No.02652026年7月11日
人は自然を管理できない、だから自然の中で学び続ける
雑木林の中で枯れ枝を払っていたとき、ふと手が止まった。どの枝を切り、どの枝を残すか——その判断が、木の次の一年を変える。正解は図面の中にはなく、木の傾き、光の差し込み方、足元の腐葉土の厚さが教えてくれる。都市開発の現場で何度も描いた「最適化…
中村 元JR東日本スタートアップ株式会社 - No.02662026年7月10日
ゴミは、百年後に史料になる
納戸の段ボール箱を開けると、褪せた封筒の束が出てきた。差出人の名前も、書かれた文脈も、もはや誰も知らない。捨てるに捨てられず、かといって読む気にもなれず、ふたたび箱に戻す。この手が止まる感覚は、感傷ではないかもしれない。哲学者ジャック・デリ…
田畑 真理国立大学法人京都大学25 reads - No.02672026年7月9日
陰陽師は時代が召喚し、時代が最強にした
安倍晴明という名を口にするとき、多くの人の脳裏に浮かぶのは、白い狩衣をまとい式神を操る超人的な姿だ。平安の夜を切り裂く呪文、鬼と渡り合う知略——それは映画や小説が刷り込んだ像である。しかし国立歴史民俗博物館が所蔵する平安期の一次史料を繙くと…
藤澤 稔3 reads - No.02682026年7月9日
死者にも役割があるアフリカの死生観
ケニア・キスム近郊の村。夜が深まると、その老人は庭先に座る。生前と変わらぬ姿勢で、家の入り口を向いて。亡くなって一週間が経っていた。村の人々は「おじいさんが見張っている」と言い、恐れるでも悲しむでもなく、ごく当たり前の事実として口にした。ア…
杉下智彦屋久島尾之間診療所1 reads - No.02692026年7月9日
知っていても、人は高値で買う
証券口座を開いた日のことを思い出してください。インデックスファンドを毎月積み立てる、それだけでいい——そう決めたはずでした。ところが数週間後、ニュースで何度も目にする銘柄名が頭に貼りつき始めます。SNSでは「まだ乗れる」という声が流れ、職場…
藤澤 稔1 reads - No.02702026年7月8日
島は、喪失を歌にかえる
2026年夏、カーボベルデのゴールキーパーがアルゼンチン戦後にこう言った。「日本代表を見ていた。彼らの戦い方が、私たちに何かを教えてくれた」。人口56万人、面積4,033km²の火山列島から来た選手が、太平洋の島国を「精神的師匠」と呼んだ。…
別府文隆株式会社みちのとちう/WyL訪問看護ステーションよこはま北山田8 reads - No.02712026年7月8日
名前を忘れることは、相手を社会の地図から消すことだった
「ほら、あの人……顔は出てくるのに」。その瞬間、口の中で言葉が止まります。顔はありありと浮かぶのに、名前だけがするりと抜け落ちている。この感覚は、記憶力の衰えでも、その人への無関心の証拠でもありません。脳の中で顔と名前はそもそも別々の棚に収…
三原重央6 reads - No.02722026年7月7日
尊重は、望みが叶った瞬間に起きていない
「先生が私の意見を採用してくれた」「みんなが賛成してくれた」「お願いしたものを買ってもらえた」——保育を学び始めた学生たちに「主体性が尊重された経験」を尋ねると、こうしたエピソードが次々と語られます。語り口はどれも温かく、確かな手ごたえを帯…
石川 聖Hoiku Studio9 reads - No.02732026年7月7日
役割を選べることが、自由の証明である
「自分の人生の主役になれ」という言葉を、ある朝ふと重く感じた。自己啓発書の棚には英雄的な一人称が並び、SNSのプロフィール欄では誰もが「〇〇を変える人」として自己紹介し、就活セミナーでは「あなたのビジョンは何ですか」と問われ続ける。その光景…
石田 亮太2 reads - No.02742026年7月7日
AIが作ったビジネスの資料に、わたしたちは、なぜ誠実さを求めるのか?
会議室で配られた資料が、あきらかに生成AIの出力だとわかったとき、人はどこか居心地の悪さを覚えます。内容は整っている。論理も通っている。それでも何かが足りない、という感覚です。その「何か」を「誠実さがない」と言い表す人は少なくありません。と…
勝 眞一郎バローレ総合研究所4 reads - No.02752026年7月6日
遊びを奪われた子どもは、自分を調整できなくなる
月曜はピアノ、火曜は英語、水曜は体操、木曜はプログラミング。都市部に暮らす幼稚園5歳児の週間スケジュールを見せてもらったとき、「何もしない午後」が一コマも存在しないことに気づいた。しかしそれは、習い事の問題だけではない。認定こども園の開園時…
井上孝之jane's consulting70 reads - No.02762026年7月6日
スマホを解約する。そのことで何を失うかが、あなたが何に依存していたかを教える
キャリアを乗り換えるたびに、連絡先を一件も引き継がない。家族には迷惑をかけるので翌日には最低限を登録し直すが、それ以外はゼロから始める。ポケットベルの時代から数えれば30年、何らかのモバイル端末を手のひらに乗せてきた。その間ずっと、どこかで…
松島靖朗安養寺18 reads - No.02772026年7月6日
バーンアウトが剥ぎ取るものが、生き直しの素材になる
深夜の病棟で、ある看護師は自分の手が震えているのに気づいた。点滴の針を持ちながら、目の前の患者の顔が「処置すべき対象」という記号にしか見えなくなっていた。感情が出てこない。疲れているのではなく、感じる回路そのものが閉じている——そんな感覚だ…
別府文隆株式会社みちのとちう/WyL訪問看護ステーションよこはま北山田9 reads