メンバーの記事
RITE の記事は「問い」から生まれます。問いは、問う人 ─ Questioner ─ が発する日々の感性。ここには、多くの人の感性が集まっています。
- No.02482026年6月4日
準備しないことで、言葉は初めて自分のものになる
テーマを告げられた瞬間、頭の中が静止する。次の二秒で、口が動き始める。自分でも驚くほど、言葉は出てくる。即興スピーチを初めて経験した人の多くが、この感覚を「恥ずかしかったけれど、終わった瞬間に何かが見えた」と表現する。準備がないからこそ、今…
大嶋友秀株式会社スピーキングエッセイ - No.02492026年6月4日
人は意味なしには生きられない——孤独が壊すものと、壊さないもの
1945年の終戦を知らないまま、小野田寛郎はフィリピンのルバング島のジャングルで29年間を生き延びた。飢えと湿気と孤立の中で、彼の精神は崩壊しなかった。同じ頃、孤独死や孤立が社会問題として語られ、世界中の政府が「つながり」を処方箋に掲げてい…
細見純子Junshin Dojo5 reads - No.02502026年6月4日
悲しみが居場所を失った日、人間は何かを手放した
十一月の午後三時、光の角度が変わるとともに、世界の彩度がわずかに落ちる。四肢がほんの少し重くなり、言葉が喉の手前で止まる。別に何も起きていない。ただ、沈んでいる。そういう日が定期的にやってくることを、私はずっと天気と同じように受け取ってきた…
佐藤克則1 reads - No.02512026年6月4日
「できない」が消えた世界で、人は着地できなくなった
夜、スマートフォンの画面が静かに光っている。返信を待つメッセージ、未読の通知、明日に持ち越せるはずのタスク。「後でできる」という感覚が、いつの間にか「今やらない言い訳」に変わる。技術が時間と距離の壁を取り除いたことで、「できない」という言葉…
Yusuke Matsuyama中小企業診断士もしている大学職員1 reads - No.02522026年6月4日
身体は、社会より三十万年古い
朝、目が覚める前から心拍数は上がっている。起床の一時間ほど前にコルチゾールが分泌され、身体は狩りに出る準備を整える。だが実際に始まるのは、画面を開いてメッセージを確認する作業だ。この小さなずれに、現代人の多くが感じる漠然とした疲弊の根がある…
林田翔太6 reads - No.02532026年6月4日
死者の場所が、都市の時間を支えている
東山を歩いていると、ふいに空気が変わる瞬間がある。大谷本廟の石段を上がるでもなく、ただ参道の脇を通り過ぎるだけで、足の裏に伝わる石畳の感触が少し重くなるような気がする。線香の煙が風に流れ、読経の声が遠くから届く。観光客の声もあれば、喪服の人…
中家寿之1 reads / 1 訪問 - No.02542026年6月4日
出会いは、相手をどう扱うかで決まっていた
初めて会う人の前に立つとき、身体は一瞬だけ静止する。おずおずと声をかけるか、元気よく挨拶するか、それとも表情を閉じたまま会釈だけで済ませるか。その選択は礼儀の問題ではない。自分のなかの気分の波と、相手の内側に広がっているはずの海とが、ほんの…
日高春奈3 reads - No.02552026年6月3日
創造性を高めようとするほど、創造は遠ざかっていく
陶芸家が轆轤を回しているとき、ある瞬間から「自分が器をつくっている」という感覚が消える。手が土を導いているのか、土が手を動かしているのか、もはや区別がつかない。ジャズ奏者が即興の深みに入るとき、音楽を「演奏している」のではなく、音楽が「流れ…
大貫冬斗4 reads / 4 訪問 - No.02562026年6月3日
「戦争はこころから生まれる」 ならば、戦争は、解ける問題だ!
戦場の映像を見て胸が痛むとき、私たちは「自分は戦争に反対だ」と感じます。その感情は本物です。しかしその感情が、実際に動員される側の人間の胸にも同じように宿っていたという事実を、私たちはどれほど真剣に考えるでしょうか。徴兵された若者も、爆撃命…
齋藤 聡 - No.02572026年6月3日
頭の中の言葉は、書かれるまで存在しない
提案書なら書ける。締め切りがあって、読む相手が決まっていて、目的が明確なら、言葉は出てくる。ところが、自分が本当に面白いと思ったことや、大切にしていることを書こうとすると、指が止まる。画面を見つめたまま、何も打てない。やっと一文書いても「ち…
小原大樹実験工房てみる2 reads / 7 訪問 - No.02582026年6月3日
知性は、関係の中からしか生まれない
チェーンソーを止めると、森が鳴り始める。風が梢を揺らし、土が足裏に重さを返してくる。木を倒す者として山に入ったはずが、気づけば自分が森に抱かれている。支配しているのではなく、支えられている。その感覚は言葉になる前に身体に届いた。人間は世界を…
井ノ上裕之自営業2 reads / 25 訪問 - No.02592026年6月3日
居心地のよさが、コミュニティを腐らせる
会議室に入った瞬間、笑い声が止んだ経験はないでしょうか。冗談を言っていた人たちが、ほんの一拍だけ新参者を値踏みするように見つめ、それからまた会話を再開する。悪意があったわけではない。ただ、その場にはすでに固まった空気があった。居心地のよい場…
由有子 山本4 reads / 13 訪問 - No.02602026年6月3日
日本の地方だけが、死を問い直す場になれる
最新型の自動販売機でキャッシュレス決済をした五分後、隣の神社の境内で二礼二拍手一礼をして絵馬を納める。初めて日本を訪れたアメリカ人の友人は、その光景を前に言葉を失った。「どちらかにしかなれないはずなのに」と彼は言った。アメリカでは技術と伝統…
岸本 高由株式会社TYO - No.02612026年6月3日
近代というOSが、いま書き換えられている
給与を自分で決める。肩書を持たない。上司がいない。ダイヤモンドメディアでそれを実践した武井浩三が「明治維新より大きい」と言うとき、彼が指しているのは制度の話ではない。世界の見え方そのものが逆転する、という感覚の話だ。天動説の宇宙に生きていた…
武井浩三eumo45 reads / 76 訪問 - No.02622026年6月3日
揺れることが、場を開く
会議室の空気が固まっている、と感じた瞬間を思い出せますか。誰かが何かを言い、誰かが押し黙り、沈黙が壁になる。そういう場では、言葉はキャッチボールにならない。ボールは投げられても、相手の手に届く前に落ちていく。ところが、誰かがふと笑ったり、少…
土屋浩幸2 reads / 5 訪問 - No.02632026年6月3日
主体性を育てようとするとき、大人はすでに主体性を奪っているのではないか?
それはモンテッソーリ教育を5年やったある日のことだった。子どもが自分で選べるように、と思って棚に並べた三つの選択肢。その日、ある子が外遊びに行きたいと園庭を指さした。用意していなかった四つ目を求めたとき、私の胸にかすかな抵抗感が走った。「そ…
吉武由衣生徒支援コーディネーター12 reads / 27 訪問 - No.02642026年6月3日
日本人は、自然の中で死ぬことを知っていた
在宅看取りに立ち会った医師が、こんな言葉を残しています。「亡くなる直前、窓の外の梅の木を見て、ああ、きれいだね、と言ったんです」。畳の上、聞き慣れた鳥の声、庭の土の匂い——その場所にしかない感触が、その人の最期の言葉を引き出しました。「ここ…
別府文隆株式会社みちのとちう/WyL訪問看護ステーションよこはま北山田5 reads / 17 訪問 - No.02652026年6月3日
新しいラグジュアリーと想像資本の時代
手のひらに乗るほどの石鹸を使い切ったとき、ふと思った。この白い塊はどこから来たのだろう。オリーブの実が絞られた地中海沿岸の丘、灰汁を煮詰めた職人の釜、数週間の熟成を経て切り出された断面。完成品として届いた石鹸は、その来歴をひとかけらも見せな…
廣瀬理子日本たばこ産業株式会社16 reads / 21 訪問 - No.02662026年6月3日
かたちは問いの答えではなく、問いそのものである
設計図を前にして、建築家が鉛筆を止める瞬間がある。線は引かれている。寸法は合っている。それでも「これではない」という感覚が、言葉より先に手を止める。その感覚は好みでも気分でもなく、何か根本的なものへの応答だ。美とはこの瞬間に宿る。完成した形…
澤谷由里子NUCB Business School21 reads / 33 訪問 - No.02672026年6月3日
学校は、年齢で子どもを閉じ込めてきた
春の入学式の朝、一年生たちは同じ制服を着て、同じ教室に詰め込まれる。隣に座るのは、誕生日が数ヶ月しか違わない子どもたちだ。この光景を「当たり前」と感じるのは、近代学校制度が150年かけて私たちの感覚に刷り込んだ結果にすぎない。人類の学びの歴…
松場 忠石見銀山 群言堂7 reads / 16 訪問 - No.02682026年6月3日
短期の震えが、長期の軸を育てる
朝、スマートフォンを手に取らずにコーヒーを淹れた日のことを思い出してほしい。通知もタイムラインも遮断された静寂の中で、昨夜の会議で感じた小さな違和感や、読みかけの本の一節が胸に残っていることに、ふと気づく瞬間がある。情報が多ければ多いほど、…
mastash - No.02692026年6月3日
弱い他者が、差異そのものを運んでくる
名刺交換から三年が過ぎ、ほとんど忘れかけていた人物からメッセージが届いた経験はないでしょうか。内容は思いがけず的を射ていて、近しい同僚には決して言えなかった悩みへの糸口になっていた。その奇妙な感覚——親しくもない相手が、なぜか核心を突く——…
田畑 真理国立大学法人京都大学 - No.02702026年6月2日
記述は、現実を切り取るたびに現実を失う
朝、目を覚ます前の一瞬を思い出してほしい。身体はまだ布団の重みを感じ、光が瞼を透かし、どこかで鳥が鳴いている。その瞬間、「今は何時か」という問いは浮かんでいない。時間も空間も、まだ立ち上がっていない。あるのはただ、感覚と感覚が溶け合う連続し…
山本桂諒煤と棲む6 reads / 30 訪問 - No.02712026年6月2日
地域らしさは、資源ではなく存在論である
山あいの集落で、朝の霧が杉林を包む時間帯に、老人が畑の畔を素手で押さえる。その動作に理由を尋ねると「土が締まる感じがわかる」と返ってきた。マニュアルもデータもない。身体が土地の記憶を読んでいる。この瞬間に宿るものを、経済学はずっと「外部性」…
渡邉さやかUniversity of Nagano1 reads / 12 訪問 - No.02722026年6月2日
仕組みをつくることが、最後の作品になる
締め切りの前日、スプレッドシートを開いたまま、手が止まった経験はないでしょうか。予算の列を眺めながら、昨日まで確かに見えていたイメージが、霧のように散っていく。あの感覚は、能力の欠如ではありません。制作の時間と経営の時間が、身体の中でぶつか…
岩田拓真株式会社a.school - No.02732026年6月2日
自然の中に溶けるとき、死は恐怖ではなくなる
潮の満ち引きを聞きながら眠る島の夜がある。岩に打ちつける波の音は、昨日も今日も同じように繰り返され、それがいつかは自分のいない夜にも続くのだと、ふと気づく瞬間がある。そのとき奇妙なことが起きる。「死」への恐怖が、すっと薄れるのだ。離島の在宅…
杉下智彦屋久島尾之間診療所4 reads / 11 訪問 - No.02742026年6月2日
わたしたちはなぜ学び合えないのか
会議の終わりに、誰かがこう言いました。「おっしゃる意味はよくわかります」。その一言で場は丸く収まり、次の議題へと移りました。しかし後から振り返ると、その人の発言が議論の方向を変えたことは一度もなかった。声は届いていたはずなのに、何かが変わっ…
ムラケントウテミル・哲学のおと1 reads / 6 訪問 - No.02752026年6月2日
近代の恵みと呪いの中、私たちは子供たちに何を渡せるのか
祖父の畑で土を触ったとき、指先が何かを覚えていると思った。しかし自分の子に同じことをさせようとして、気づく——自分はもうその感覚を持っていない。水がどこから来るか知らず、火を起こしたことがなく、種の蒔き時を体で知らない。石油文明の百年は、そ…
松村岳史UNITED2 reads / 24 訪問 - No.02762026年6月2日
私が本を読むのではない、本が私を読む
本を読んでいると、ふいに手が止まることがある。「あの灼熱の夏の昼過ぎ」という一行に目が触れた瞬間、著者の物語とはまったく無関係な場面が、身体の奥から浮かび上がってくる。汗の匂い、蝉の声、誰かの声。それは意図して呼び出したものではなく、むしろ…
古瀬正也古瀬ワークショップデザイン事務所3 reads / 16 訪問 - No.02772026年6月2日
対話なんかやめて本を読め
学びを「楽しい」という言葉で語るとき、教育はすでにその倫理性の一部を失っている。付箋と拍手に埋め尽くされた教室に漂う、あの特有の「寝ている者がいない」という名の全能感。知識の学習は「退屈」と言わんばかりである。しかし、その熱狂の冷めた後に残…
小寺康史10 reads / 26 訪問