異なる「現実」を生きる人々は、どう共存できるのか
誰かの投稿を見て、静かに画面をスクロールしたことはないでしょうか。反論したいわけでも、賛同したいわけでもない。ただ、何かを言えば面倒なことになる、という予感だけがある。日本では、職場でも家族の食卓でも、政治や社会について語ることは長らく「空気を読まない行為」とされてきました。沈黙は礼儀であり、対立は失礼であるという文化的圧力が、分断をゆっくりと、しかし確実に見えにくくしてきた。
見えにくい分断は、解決されないまま積み重なります。この静けさの中に、社会の何が起きているのかを、人類学と社会科学の交差点から問い直してみます。
QUESTwith RITE
あなたの問いを、人文知 × 自然科学 × 社会科学で探求し、記事に編む。
記事一覧
意味で、さがす。
キーワードではなく、問いの意味で記事を探せます。 気になっていることを、自由な言葉で書いてみてください。
便利さは、文化の記憶を静かに消していく
古着屋の暖簾をくぐると、店主が無言で反物を広げ、傷の位置を指でなぞりながら「ここを折り返せばまだ使える」と言った。値段の交渉より先に、物の来歴が語られる時間があった。その場で子どもは、物には物語があること、傷は終わりではないことを、言葉では…
集合的イノベーションは、媒介によって召喚される
「気づいたら政策になっていた」——ある地域の食料支援に携わっていた担当者は、数年後に自分たちの試みが国の制度へ組み込まれていたことを、そう振り返った。意図して広げようとしたわけではない。ただ記録し、語り、隣の現場の人と話し続けた。その積み重…
「人間にしかできないこと」を問い続けるほど、人間は貧しくなる
会議室で、AIが作成した提案書を前に、誰も言葉を発しなくなる。 「これ、私たちが作るより良くないか」 そんな空気が漂い、誰かが「それでも、人間にしかできないことがあるはずだ」と口にする。しかし、その言葉で議論が前へ進むとは限りません。む…
遺物の値段は、ストーリーが決めていた
「先生がびびってはった」という小学2年生の報告は、価値論の核心を突いていた。「我が家の宝物」を紹介する授業で桐箱に収まった江戸末期の西陣織の袱紗と表具店の蔵から出てきた信長の手紙が教室に持ち込まれたときのことである。素材の精緻さでも保存状態…
「正しい言い方」を学ぶほど、人は黙っていく
企業の社員食堂に、白くて丸い家族型ロボット「LOVOT」が置かれた日のことを想像してほしい。外部スタッフが抱いていたそのロボットは、隣の人のくしゃみに反応して、まるで幼い子どものように身をすくめ、驚いた表情を見せた。それを目にした二人が思わ…
役割は外殻を変えるが、背中は内核を映す
合氣道の稽古中、友人で同い年だけども稽古では先輩である稽古仲間が、道場で指導しながら稽古していた。こちらは見ていない。見ているのは私の方だけだ。柔軟運動をしながら、いつの間にか十分以上その背中を見ていた。私が直接何かを教わったわけではない。…
自由だけでは自由を守れない - 人権という、人類のもっとも現実的な知恵
理由を告げられないまま部屋に閉じ込められた経験がある人は、おそらく多くない。 しかし、会議の場で発言を遮られた瞬間、あるいは自分の判断を誰かに無効化された瞬間、あの感覚の片鱗を多くの人が知っている。胸の中心が硬く縮む感じ、言葉が喉の手前で止…
戦い続けるうちに、人はホームベースを失う
夜、仕事のメールを閉じた後も、頭の中で誰かと交渉し続けている自分に気づいたことはないでしょうか。電車の中でも、食卓でも、布団の中でも、どこかで「評価される自分」を演じ続けている。その感覚は、単なる疲労ではありません。哲学者シモーヌ・ヴェイユ…
心理的安全性は、自分の内側から生まれる
会議室で手を挙げかけて、止めたことがある。言葉は喉元まで来ていた。それを押し戻したのは、「この場で言っても大丈夫なのか」という問いだった。組織が「ここは安全な場所だ」と宣言すれば、その問いは消えるのだろうか。 ハーバード・ビジネス・スクール…
英雄は、後世が必要としたかたちに変えられていく
関羽の廟に手を合わせる人々がいる。武将として戦場に散ったその人物は、今や商売繁盛を祈る商業神として東アジア各地に祀られている。義経は奥州で滅んだはずなのに、民衆の間ではモンゴルへ渡ってチンギス・ハンになったという伝説が生き続けた。菅原道真は…
MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)は、読む者が書き換える経典である
新しいメンバーとして組織に入ったとき、最初に手渡されるのはたいてい一枚の紙か、スライドの画面だ。ミッション、ビジョン、バリュー。短い言葉が並んでいる。読んだ瞬間、「なるほど」と思う。だが数ヶ月後、日常業務の中でその言葉を思い出すとき、最初に…
余白は、余りから生まれない
手帳を開くたびに、空白の日を探してしまう。もしこの予定が終われば、もし来月になれば、もし少し早起きすれば——そうすれば、どこかに「余り」が出てくるはずだと。けれど不思議なことに、空白を見つけるたびに何かが滑り込んでくる。やりたいことが、やら…
問い手の広場
いま 221 名 の問い手が、それぞれの問いを持ち寄っています。顔ぶれは週ごとに変わるので、また覗きに来てください。 これまでの全員は メンバー一覧から。次は、あなたの問いが、ここに並ぶ番です。
採用面接の場で、候補者が流暢に「私の強みはAIを活用した業務効率化です」と答えるとき、面接官はどこか釈然としない感覚を覚えることがある。言葉は整っている。論理も…
この問いを読む →七月の終わり、教室に折り紙の音が満ちる。子どもたちの指は迷わない——鶴の折り方は体に入っている。しかし「なぜ折るの?」と問われた担任教員が、しばらく黙った。被爆…
この問いを読む →誰かの手のひらが背中にそっと触れた瞬間、言葉より先に何かが伝わった経験はないでしょうか。その感覚は生物学的な事実であると同時に、文化が長い時間をかけて書き込んだ…
この問いを読む →朝、目が覚める。肺が勝手に動いて空気を取り込み、心臓が一度も頼んでいないのに脈を打ち続けている。窓から差し込む光も、昨夜誰かが作った食事も、自分が「受け取ろう」…
この問いを読む →蝉が鳴き出した夜、ふと気づいた。今年はホタルを見ていない。あの虫が飛ぶのは、梅雨の合間の、曇りとも晴れとも言えない宙ぶらりんな夜だった。降れば土砂降り、晴れれば…
この問いを読む →2歳ぐらいの子どもが親のスマートフォンを手に取り、画面を指でなぞる。絵が動き、音が鳴り、また指を動かす。その集中した顔は、積み木を積むときとも、砂をつかむときと…
この問いを読む →数ヶ月ぶりに神様と生き物と島民がくらす離島の小さな浜に戻った時に目に入ったのは、異国の音楽と煌びやかなライトをまとった新しい店だった。胸の奥に湧いたのは環境問題…
この問いを読む →会議室で、誰かの発言が宙に浮いたまま着地しない瞬間を経験したことがあるはずです。論理的には正しい。データもある。それでも場が動かない。その沈黙の中で、私たちは何…
この問いを読む →会議室の空気が変わる瞬間がある。60代のベテランが「俺たちの時代はこうだった」と語り始めた瞬間、若手の目が一斉に伏せられる。その沈黙は反論でも退屈でもなく、もっ…
この問いを読む →引き出しの奥に、誰が見ても「ただの石」がある。丸くもなく、光りもしない、灰色の小石。でも手に取った瞬間、指の腹がその重さを覚えていて、言葉より先に何かが戻ってく…
この問いを読む →古着屋の暖簾をくぐると、店主が無言で反物を広げ、傷の位置を指でなぞりながら「ここを折り返せばまだ使える」と言った。値段の交渉より先に、物の来歴が語られる時間があ…
この問いを読む →誰かの投稿を見て、静かに画面をスクロールしたことはないでしょうか。反論したいわけでも、賛同したいわけでもない。ただ、何かを言えば面倒なことになる、という予感だけ…
この問いを読む →RITE(ライト)
RITE は、NPO 法人ミラツクが運営する人と AI の共創メディアです。あなたが送り出してくれた問いに、ミラツクが 2008 年から積み上げてきた知の基盤とが連動して、一本の記事を編み上げます。
問いを投げかけるという、新しい書き手の世界を楽しんでください。