昔話の主人公が広告に召喚される日、子どもは何を失うか
桃太郎は桃から生まれた。そのことを、いまの小学生はどこで知るのでしょうか。テレビをつければ、桃太郎は松田翔太が演じる若者であり、浦島太郎・金太郎とつるんでスマートフォンの料金プランを語ります。auの「三太郎」シリーズは2015年の放映開始以来、高視聴率と高好感度を維持し続け、3人の昔話の主人公を「現代の友人グループ」として茶の間に定着させました。
子どもが物語に自分で出会う前に、企業が用意したキャラクター像が先に脳裏へ刷り込まれる。これは単なる「CMが面白い」という話ではありません。伝承とは本来、語り継がれるたびに聴き手が意味を受け取り直す、生きた公共財です。その財が、子どもの同意も関与もないまま、大人の経済論理によって上書きされているとしたら——その静かな収奪を、私たちはまだ問い始めてもいません。
QUESTwith RITE
あなたの問いを、人文知 × 自然科学 × 社会科学で探求し、記事に編む。
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スマホは、遊びの「中間領域」を埋めてしまう
2歳ぐらいの子どもが親のスマートフォンを手に取り、画面を指でなぞる。絵が動き、音が鳴り、また指を動かす。その集中した顔は、積み木を積むときとも、砂をつかむときとも、どこか違う。微笑ましさとともに、何かが引っかかる。その「引っかかり」は、単な…
隙は、人を招く構えである
カミーノ・デ・サンティアゴの石畳の上で、私は計画を全部失った。地図も、天候も、歩く行程も、どれも予定通りにはならなかった。そのとき口から出たのは「受けたもう〜!」という声だった。語源を調べて出た言葉ではない。身体から溢れた音だった。合氣道の…
与えるとき、人は自分を発見する
濱口竜介監督の映画の中に、ユマニチュードという認知症ケアの場面があった。「見る・話す・触れる・立つ」という四つの動作で構成されるそのケアは、フランスで1970年代に生まれた哲学的実践だ。映画を見ながら気づいたのは、「誰かのため」という善意が…
縮退を設計しない国で、誰が引き際を決めるのか
案内スタッフが苦笑いしながら言った。「駐車台数が、本日の出勤者数です」。ガラスのドームでつながった建物群は陽光を受けてまだ美しく、しかし構内のゴミ箱はサルに荒らされた痕跡を残していた。中央省庁出身の首長が大型予算を引っ張り、補助金が切れると…
衝突する「持続」が、むしろ世界を支えている
数ヶ月ぶりに神様と生き物と島民がくらす離島の小さな浜に戻った時に目に入ったのは、異国の音楽と煌びやかなライトをまとった新しい店だった。胸の奥に湧いたのは環境問題への義憤ではなかった。「ここが消えてほしくない」という、もっと身体的な、ほとんど…
複数の世界を生きる者だけが、複雑な場を動かせる
会議室で、誰かの発言が宙に浮いたまま着地しない瞬間を経験したことがあるはずです。論理的には正しい。データもある。それでも場が動かない。その沈黙の中で、私たちは何かを感じ取っています——言語化できないまま、次の言葉を選んでいる。その「感じ取る…
党議拘束という政治的行為の死へのレジスタンス
投票所の帰り道、ふと立ち止まったことがあります。候補者の名前を書きながら、自分が選んだのは「その人」なのか、それとも「その党」なのか、区別がつかなくなっていた。議会で採決が行われるとき、議員たちは一列に並び、党の指示通りに手を挙げる。個人の…
バトンを渡した手は、まだ走り続けられる
会議室の空気が変わる瞬間がある。60代のベテランが「俺たちの時代はこうだった」と語り始めた瞬間、若手の目が一斉に伏せられる。その沈黙は反論でも退屈でもなく、もっと深いところにある諦めの気配だ。リレーで喩えるなら、バトンゾーンをとっくに過ぎて…
子どもの夢は大人の経済に食い尽くされる
3歳の子どもが誕生会で「大きくなったらかわいい犬になります」と宣言したとき、その場にいた大人たちは微笑ましく感じた。しかし微笑みの後に残るのは、一つの問いです。その子はみんなに愛されるから犬になりたかったのだが、もしかしたらSNSで流れてく…
学校が灯を消す日、集落は静かに畳まれる
春の終わりに体育館の床を磨く子どもがいなくなる。そういう日が、日本のどこかの山あいで毎年繰り返されています。文部科学省の統計によれば、2002年から2022年の20年間に全国で約9,000校の公立小中学校が廃校となりました。廃校は単なる施設…
問いは、答えを得た瞬間に死ぬ
電車の中で知らない言葉に出会う。一瞬、頭の中に小さな霧が立ちこめる。だがその霧が晴れるより早く、指はもうスマートフォンの画面を叩いている。検索結果が返ってくるまで0.5秒もかからない。霧は消え、言葉は定義に変わり、問いは閉じられる。そのとき…
物は、物語を纏ったとき宝物になる
引き出しの奥に、誰が見ても「ただの石」がある。丸くもなく、光りもしない、灰色の小石。でも手に取った瞬間、指の腹がその重さを覚えていて、言葉より先に何かが戻ってくる。あの夏の午後、誰かと歩いた川原。水の音。その人の声。石の物理的な性質は何も変…
問い手の広場
いま 217 名 の問い手が、それぞれの問いを持ち寄っています。顔ぶれは週ごとに変わるので、また覗きに来てください。 これまでの全員は メンバー一覧から。次は、あなたの問いが、ここに並ぶ番です。
2歳ぐらいの子どもが親のスマートフォンを手に取り、画面を指でなぞる。絵が動き、音が鳴り、また指を動かす。その集中した顔は、積み木を積むときとも、砂をつかむときと…
この問いを読む →数ヶ月ぶりに神様と生き物と島民がくらす離島の小さな浜に戻った時に目に入ったのは、異国の音楽と煌びやかなライトをまとった新しい店だった。胸の奥に湧いたのは環境問題…
この問いを読む →会議室で、誰かの発言が宙に浮いたまま着地しない瞬間を経験したことがあるはずです。論理的には正しい。データもある。それでも場が動かない。その沈黙の中で、私たちは何…
この問いを読む →会議室の空気が変わる瞬間がある。60代のベテランが「俺たちの時代はこうだった」と語り始めた瞬間、若手の目が一斉に伏せられる。その沈黙は反論でも退屈でもなく、もっ…
この問いを読む →引き出しの奥に、誰が見ても「ただの石」がある。丸くもなく、光りもしない、灰色の小石。でも手に取った瞬間、指の腹がその重さを覚えていて、言葉より先に何かが戻ってく…
この問いを読む →桃太郎は桃から生まれた。そのことを、いまの小学生はどこで知るのでしょうか。テレビをつければ、桃太郎は松田翔太が演じる若者であり、浦島太郎・金太郎とつるんでスマー…
この問いを読む →あるSNSのスレッドを思い出す。ある差別の告発に、別の当事者が「それより私たちの方が深刻だ」と割り込んだ。最初の声は掻き消され、二番目の声もやがて三番目に塗り替…
この問いを読む →北京のオフィスで、取引先の担当者が早口で何かを言った。聞き取れなかった。けれど、その人が椅子をわずかに引いた瞬間、話が終わったことが分かった。言葉より先に、身体…
この問いを読む →「ワガママ」と言われた瞬間、胸の奥で何かがかちりと閉まる音がした。声は小さくなり、次第に自分の欲しいものを口にすることをやめていく。不思議なのは、まったく同じ種…
この問いを読む →秋の山で、六十代の男性が黙々と斜面の草を刈っていた。「これをやめたら、春の田んぼに土砂が流れ込む」と彼は言ったが、その作業に対して誰も対価を払わない。漁師が禁漁…
この問いを読む →案内スタッフが苦笑いしながら言った。「駐車台数が、本日の出勤者数です」。ガラスのドームでつながった建物群は陽光を受けてまだ美しく、しかし構内のゴミ箱はサルに荒ら…
この問いを読む →深夜、何かの気配で目が覚めた。部屋の空気が変わっていた。銀白色の、私よりふた回りほど小さなヒトが、そこにいた。言葉は聞こえなかったが、問いは届いた——「2分で決…
この問いを読む →カミーノ・デ・サンティアゴの石畳の上で、私は計画を全部失った。地図も、天候も、歩く行程も、どれも予定通りにはならなかった。そのとき口から出たのは「受けたもう〜!…
この問いを読む →「人新世の資本論ーコモンズと新しい豊かさ」のパネルを終えた夜、頭に残ったのは一つの問いだった。私有でも国有でもない第三の道を語るとき、私たちは何を守ろうとしてい…
この問いを読む →濱口竜介監督の映画の中に、ユマニチュードという認知症ケアの場面があった。「見る・話す・触れる・立つ」という四つの動作で構成されるそのケアは、フランスで1970年…
この問いを読む →RITE(ライト)
RITE は、NPO 法人ミラツクが運営する人と AI の共創メディアです。あなたが送り出してくれた問いに、ミラツクが 17 年かけて積み上げてきた知の基盤とが連動して、一本の記事を編み上げます。
問いを投げかけるという、新しい書き手の世界を楽しんでください。